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Sourdoughを作る~Starter編・備忘録1~

イギリスに来てからよく見かけるSourdough(サワードウ)というパン。

見た目はフランスのカンパーニュみたいな雰囲気で、大きなまん丸ホールで焼きあがった姿はとっても魅力的。

こんがりパリッと焼けたクラストに包まれたモチっとした食感の良いパンです。

サワードウは、市販のインスタントドライイーストを使用せず、空気中に存在する天然のイーストを利用して作るパン。

まずはスターターと呼ばれる自家製のイーストを作るところからサワードウ作りは始まります。

今回そんなSourdough作りに初挑戦。

しかしレシピ通りに作っても、気候や粉によってスターターの様子が大きく異なるようで、かなり苦戦しました。

今回は、備忘録として私の場合のStarter作りをまとめます。

もしStarter作りに悩む方がいらっしゃいましたら、状況に応じた対応方法など参考になればと思います。

参考にしたレシピ

参考にしたレシピはこちら。

Sourdough starter with green grapes recipe - BBC Food

イギリスでパンといえば、人気テレビ番組The Great British Bake Offのジャッジを長年務めるPaul Hollywood氏。

番組内でパン作りが課題に出ていた際、出場者が失敗してべとべとでどうしようもなくなったパン生地を、粉を少し追加してPaulが捏ねると一瞬で綺麗なパン生地に捏ねあがったシーンがありました。

そのワンシーンを観て以来、私はPaulの神の手のとりこになりました。。

そんなわけで、今回使用するレシピはPaulのレシピです。

発酵を助ける目的で、粉、水に加えブドウも数粒使います。

材料:

ブドウ 5~7粒 (スライスする)

強力粉 250g

ぬるま湯 250ml

 

スターターを保管するため、1~1.5L程入る密閉容器が必要です。

透明のガラス瓶だと、中が見えて発酵具合が判るのでおすすめです。

私はイギリスのガラス容器メーカー・Kilnerの1.5L角瓶を使用しました。

この瓶は、全体がガラスで煮沸消毒が簡単、そして蓋も透明なガラスなので、上面の生地・気泡の状態が確認しやすかったです。

 

1日目

1日目は上記分量のブドウ、強力粉、ぬるま湯をボールで良く混ぜたら煮沸消毒した1.5L瓶に入れるだけ。この状態で密閉して室温(20~25℃)に置いておきます。

ぬるま湯は35~40℃の温度で用意しました。実際40℃近かったと思います。

下記写真で判るように、瓶の内側に汗をかいてしまうような状況でした。

出来上がった生地はよ~く伸びる弾力のある生地状態でした。

この状態で3日間おきます。

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1日目

2日後

仕込んだ日から2日後で理想通りブクブクと発酵が進みました。

ですが、瓶の下方にはうっすらと水分の層ができており不安になりました。

この写真を撮影したあと、この分離した水分を混ぜようと瓶を振って攪拌すると、すっかり気泡は消えてしまいました。

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仕込みから2日後

3日後

イーストは発酵しきって餌が無くなると生きていけません。

3日後は瓶内にある生地の半分を捨て、新しい粉100gと新しいぬるま湯100mlを入れてフィード(Feeding)と呼ばれる作業をします。

本来であれば、この段階である程度の嵩の増加と気泡の発生が見られます。前述の2日後に見えた状態です。ところが、私のスターターは一度攪拌したためか、水分と生地が分離したような状態になってしまいました。

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水分が生地の上面に分離して浮いています。

このまま次のステップに進んで良いものか迷いましたが、一度2日目の時点で気泡ができ嵩が増えていたということは、確かに「イーストの活動がある」状態だ、とネットで見つけましたので、予定通りフィードすることにしました。

フィードの方法について、レシピには「半分捨てる」としか書いていなかったので、おバカな私は目分量で半分捨てました。後で他のレシピ等様々読んで気づきましたが、ざっくり半分ではなく、きっちり半分計量した方が良いです。

そのためには、一旦全量瓶から取り出して計量し、そこから半量を取り除けばOKです。

残りの半量に、前述の新しい粉・ぬるま湯を追加して良く混ぜ、瓶に戻します。

このまま24時間室温で発酵させ、その間に沢山の気泡が出て、スターターの嵩が2倍程度に増えていれば、スターターは完成。サワードウ作りに進めます。

 

4日後

残念ながら、私のスターターはこの時点で発酵を見せず、水分と生地が完全に分離した状態になってしまいました。

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少し色づいた水が上面に浮いています

様々なWebsiteを見てみると同じような現象を経験されている方はいて、水分が分離しているのは、生地中に単純に水分が多すぎるか、あるいはイーストがOver-active(過発酵)している可能性があるとのことです。

2日の時点で確かに発酵していたことからイーストは確かに生きていた点、また、しっかり計量せずに目分量でフィードしていた事を考えると、両方の可能性が大いにあると思われました。その為、水分をこれ以上増やさず、強力粉50gのみで再フィードしてみることにしました。

 

7日後

最初の仕込みから7日後、前回のフィードから3日置いた状態です。

無事水分の分離は解消され、すこし気泡と嵩の増加がみられるようになりました。

無事適正な水分量を満たし、イーストの活動が復活したようです。

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横から見た様子。水分分離が解消されています。

上面から見ると、大小の気泡が出来ているのが見えました。

イーストの活動が確認できたので、初回のフィードステップに戻って再度フィードを行います(一番最初の仕込みの3日後に行ったフィードを繰り返します)。

また半量を捨て、100gの強力粉と100mlのぬるま湯でフィードします。

前回の水分分離により少し不安になり、実際に水分は70ml程度しか入れませんでした。

フィード後、室温で2日間発酵させます。

 

9日後

最初の仕込みから9日、前回のフィードから2日後です。

大きな気泡ができ、嵩は1.2倍程度に増えました。

水分分離も見られず良好なので、最後のフィードを行います。

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フィード前、スターターの瓶を上から見た様子

また半分捨てて、100gの強力粉と70mlの水分を加えました。

本来は100mlの水分を加えるのですが、水分分離がトラウマとなって70mlに留めました。混ぜた段階のスターター生地は、伸びの良い弾力のある生地でした。

今思い返すと、水分量を減らしたために少し固すぎたかもしれないと思います。

 

10日後

最初の仕込みから10日、前回のフィードから24時間後です。

嵩は約1.5倍、大小の気泡が沢山できていました。

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完成したスターター

嵩は発酵のピークと言われる2倍まで到達しませんでしたが、1.5倍まで到達していた上気泡もでていたので(あと、これ以上もう我慢できず)、このスターターでサワードウ第一弾を作ってみることにしました。

 

おわりに

長くなりましたので、サワードウ作りは次回の記事でまとめます。

結果を先にお伝えすると、水分分離や発酵の弱さなど様々な問題を起こしつつ全部で10日かかったスターターでしたが、結果としては美味しいパンを作る事ができました。

実際に作ってみて、スターターの状態(嵩、気泡の量、匂い、固さなど)を見ながら色々と調整が必要で、作る人の感覚が大きく影響するものだと良くわかりました。

色々作っていけば、「私のサワードウ」と呼べるものが出来そうで、とっても楽しいまさに実験、研究のような科学が詰まったパン作りです。

 

スターター作りは動画にもまとめています。

動画では実際の生地の状態が判りやすいと思うので確認してみてください。

youtu.be

そして、サワードウスターターを作られる際「こんな状態の時はどうしたら??」なんて事態になってしまったら、ぜひ参考にして頂ければと思います。

 

備忘録2 生地作り編はこちら☆

tash-tsubo.hatenablog.com

 

Shikka